2014年12月5日金曜日

ミックスボイスの定義 by Chico.


ミックスヴォイスとベルトヴォイスは何が違うのか?

これを説明する上で重要なのがまずミックスボイスの定義。
一般的な音楽理論ではどう言われているか分かりませんが、
私の経験上、ミックスヴォイスには2種類あります。

1、裏声ベースのミックス
そしてもう一つは
2、地声ベースのミックス

音階を上がって行くと地声と裏声が切り替わる
トランジッションエリア(ブレイク)に出会しますね。
そこで地声に裏声を徐々に混ぜて上手に裏返えし、
その裏返った声のまま声帯を閉じて強く響かせる事が
一般的に広く知られるミックスボイスではないでしょうか?
だけどこのミックスは聞けば「裏声を強くしたやつだな」とすぐ分かります。
アンジェラ アキさんのThis Loveのサビの感じが私のイメージです。

これを私は裏声ベースのミックスと呼んでいます。
しかしこれをベルティングだというトレーナーも沢山居ます。
鼻の両脇に響かせて声を出しなさいと。
この声はR&Bやミュージカルなどに多用されるように思います。
例)Barbra StreisandのMemory、Four Seasons、Al Greenなど

*アメリカでも日本でもベルティングの定義はトレーナーによって異なります*

でもこの裏声感が否めないミックスじゃロック系がカッコ良く歌えない!と
限界や疑問を感じている方も沢山いますね?


それではその一歩先、ベルトへ行きましょう。


同じ様に音階を上がって行って
トランジッションエリア(ブレイク)に差掛かった時、
喉はリラックスさせたまま声を裏返らせずに高音を出していきます。
参考動画↓
https://www.youtube.com/watch?v=_NxL6H913uQ

これが私が教えているベルティングの定義です。

この方法を使うと、海外ロックシンガーのハイトーンヴォイスや、
ビヨンセやクリスティーナアギレラの力強い高音、
多くの人が声を張り上げ喉を締めて真似する高音を、
喉を痛めずに楽に出す事が出来ます。
(が、本人の喉の特徴がモロに出るので、声質は様々。)

私はこの地声の響きで出す高音をベルティングヴォイスと呼びます。
実はベルティングヴォイスもミックスボイスの一つなんですよ。
ただ地声:裏声の比率を9:1位まで絞っています。
そのベルトした状態のまま息の量を増やしてこの比率を7:3、更に3:7
(実際はこんな風に数字では考えませんが例として)
とコントロールしていくと、
息の聞こえるウィスパー系のミックスに変化していきます。
この辺りの裏声が聞こえてくる声を
私は地声ベースのミックスと呼んでいます。
Charaさんのようなウィスパー系だったり、
ロック系など、ちょっと声を歪ませたい時に使います。


裏声ベースのミックス、地声ベースのミックス
どちらも付けたいニュアンスによって使い分ける
重要な歌唱テクニックです。


しかし、脅す訳ではありませんが、
「地声が分からない」「鼻に掛ける癖が抜けない」と私のレッスンに来た方々は
皆さん先に裏声ベースのミックスを習得していました。
裏声ベースのミックスを練習している方は、地声を忘れない事と
鼻にかける歌唱法からいつでも脱却する方法を忘れないで下さいね。

逆に、先にベルティングを習得すると声を裏返すだけで
裏声ベースのミックスもできるので、
私はまずはベルティングを習得する事をお勧めします。


私の動画「ベルティング発声1」では、スケール練習を
裏声ベースのミックスヴォイス(弱めですが)
とベルティングヴォイスの両方で比べているので参考にして下さい。



さて、長々と私の定義を説明しましたが、
頭でっかちにならないことが一番大切。

そして独学でベルティング習得を考えている方もいると思いますが、
レッスンを受けた方が安全で確実です。
喉が少しでも痛んだり、負担がかかっているようであれば
やり方が間違っているので直ぐにやめて下さい。

アメリカでもベルティングは必ずトレーナー指導の元で練習する様にと言われています。


次回は沢山の人が苦しめられる甘い罠、
「鼻」について書こうと思います。
お楽しみに!



Chico.